こんなところでも近畿タクシー

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 以下の文章は「阪神・淡路大震災復興誌[第10巻]2004年度版」(発行:(財)阪神・淡路大震災記念協会)に掲載されたもの(「第二章:復興 活動・人の記録」「第四章:福祉 第五節 企業・団体の『社会貢献』」)より一部転載しています。


近畿タクシー(株)代表取締役社長 森崎 清登
 さまざまな工夫を凝らしたタクシーの運行で有名なタクシー会社を経営するとともに、震災復興に取り組むまちづくり会社やTMOなどにも参画し、新長田地区のまちづくり活動を推進している。特に、「ぼっかけ」(スジ肉とこんにゃくなどを煮た物)をテーマにした新しい新長田名物の企画・宣伝や「らくちんバス」(地元商店施設とタイアップしたコミュニティバス)の実験運行など、ユニークで活気ある試みの中心を担っている。また、地域の足としての役割を強調した地域タクシー会社のコミュニティビジネスとしての新たな展開をめざしている。(小林郁雄)  (「第二章:復興 活動・人の記録」より)


 [まちづくりに参画]

 「震災で私の中で化学変化が起きた」。2004年3月に開かれた「神戸ソーシャル・ベンチャー・アワード」の表彰式で優秀賞に選ばれた「近畿タクシー」の森崎清登社長は壇上でこう切り出した。それまでまちづくりに関心はなかった。転機になったのは震災1年後、被災地を去るボランティアが言い残した「あとは地元で頑張って」という言葉だった。
 JR新長田駅南の復興再開発地区でまちづくりにかかわり、商業活性やすべての人にやさしいユニバーサルデザインの浸透など、さまざまな旗振り役を務めてきた。活動の多くはボランティアだが、常に「企業の看板」を背負っている。
 「企業のブレーンはまちの人。まちづくり活動の照り返しを本業に生かしている」。お花見や海水浴、地元球団の応援など、地元の資源を本業に結びつけたツアーを数多く開発してきた。それだけではない。塾通いの子どもの送迎タクシーや介護タクシー、警備分野への進出など、地域の安全・安心を守ろうとする姿勢が、アワード審査員らに高く評価された。まちと本業、どちらも元気にする。そんなバランス感覚が地域に受け入れられ、活動が広がった。(〜以下省略)  (「第四章:福祉 第五節 企業・団体の『社会貢献』」より)

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