こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「日経MJ2006年7月31日」の記事を転載しています。

サービス&エンターテインメント

新発想で勝負
海水浴送迎、水着のままで

車内防水、車いす対応も
近畿タクシー



今夏は子どもの海水浴デビューがターゲット
 ぬれた水着のままで大丈夫−−。近畿タクシー(神戸市)は自宅と関西の代表的な海水浴場の須磨海岸を往復で送迎する「海のタクシー」を始めた。座席をビニールやバスタオルで覆った“専用車”を用意。海水浴客がぬれていたり、砂が付いた水着のままでも乗れるようにした。8月31日まで運行する。
 利用する60分前までに予約すると、アロハシャツを着た運転手が自宅まで迎えに行く。車内には須磨海岸に約30軒ある海の家の料金情報やメニューなどを載せたパンフレットを置き、運転手がおすすめ情報を案内。海岸近くまで送り、帰りは指定された時間に、車を降りた地点まで迎えに行く。
 通常の中型車やワンボックス車も使用し、4〜5人の家族客なら1台で送迎できる。料金は通常の中型車のメーター料金と同じで、初乗り2キロメートルが660円、その後は296メートルごとに80円加算する。同社が本社を置く神戸市長田区の中心部からなら往復で3千円程度。運行時間は午前7時から午後6時まで。
 往復で予約した客には毎日先着2組まで、アイス枕や化粧水入りのクーラーボックスを無料で貸し出す。車いすの客にも対応し、リフト付きの車両で車いすのまま送迎。砂浜で運転手が手伝い、近隣の国民宿舎「シーパル須磨」から借り受けた砂浜を走行できる専用の車いすに乗り換える。
 「海に行ったことがないお子様を持つお母さんに、気軽に海水浴デビューを楽しんでほしい」と森崎清登社長は話す。自身のアイデアで2002年に始めたが、駐車車の確保や飲酒などを気にせず海水浴を楽しめるのが好評で、家族客らの間で徐々に知られるようになっていった。5年目の今年は地元のスイミングスクールなどにチラシを置いてもらい、幼い子ども連れの母親や、孫を連れた団塊の世代などに利用を呼びかける。
 値下げ競争の激しい関西のタクシー業界にあって、アイデアマンとして知られる森崎社長は海のタクシーなど、様々なニーズに応じたきめ細かなサービスを提供して、価格競争からの脱却を図っている。春の「花見タクシー」は紅白の陣幕の宴会セットを積み、運転手が会場設営や場所取りまで手伝う名物企画。塾帰りの子どもを母親の代わりに迎えに行く「安心かえる号」も人気を集めている。
   (山本洋一)
<近畿タクシー 会社概要>
▽設立 1952年7月
▽所在地 兵庫県神戸市長田区上池田5-5-18
▽資本金 1000万円
▽売上高 3億円(2005年10月期)
▽事業内容 送迎・介護タクシー、観光バス

「海のタクシー」の詳細はこちらをご覧ください。

 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。


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