こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「読売新聞2006年8月17日朝刊」の記事より一部を抜粋して転載しています。

ユニバーサルデザイン最前線

「みんなに良い」社会へ

*10言語で放送
 軽快なラテン音楽に続き、ペルー出身のDJの大城ロクサナさん(37)がスペイン語で話し始めた。テーマは「食中毒」。夏場は特に注意が必要と呼びかけると、日本人DJのマリアさん(36)が日本語で要約する。
 神戸市長田区のコミュニティー放送「FMわぃわぃ」では、10言語が使われている。11年前の阪神大震災で、有志が韓国語やベトナム語のミニFM放送を行い、仮設住宅などの情報を提供したのが原点だ。
 その後、様々な言語の通訳・翻訳など、外国人住民を支援するNPOがいくつも生まれた。区民10万4000人のうち外国人が登録者だけで8000人という環境の中で、ユニバーサルデザイン(UD)の重要な要素の1つである多文化共生が実現しつつある。
 「震災からの復興の中で、私たちは人のつながりの大切さを再認識した」。地元でタクシー会社を経営する森崎清登さん(53)は振り返る。

*震災復興を機に
 こうした住民意識をユニバーサルデザインに結びつけたのは、行政の現場職員たちだった。
 01年7月「これからの地域づくりのキーワード」と感じていた区役所や社会福祉協議会の一部職員の呼びかけで、森崎さんらの住民組織「長田区ユニバーサルデザイン研究会」が発足。住民主導の復興が、ユニバーサルという旗印の下で展開されることになった。
 長田区などの動きに注目した市は02年、市民福祉総合計画に「UDの推進」を盛り込み、「ユニバーサルデザイン推進係」を新設した。昨年6月に策定した「神戸2010ビジョン」にも「ユニバーサル社会()の実現」を明記し、街づくり全体に理念を行き渡らせた。
 矢田立郎市長は、「市民生活の豊かさを実現するには、市民が互いに多様性を認め合い、支え合いながら力を発揮していく以外にない」と力を込める。
    (〜以下、省略〜)

※ユニバーサル社会
 ユニバーサルデザインの考え方に基づき、年齢や性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、だれもが能力を発揮し、生き生きと暮らせる社会のこと。交通機関や施設などのハード面だけでなく、サービスなどソフト面も含め、官民で動きが広がっている。「共生社会」も、ほぼ同じ意味で使われる。

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