こんなところでも近畿タクシー

区切り線

以下の文章は「神戸新聞2003年7月25日夕刊」に掲載された「写・シーン」ページより転載しています。

撤去進む 神戸・長田の「震災アーケード」

また一つ消える“証人”

感慨
往時のまちの面影を残すアーケード。商店主らの話を聞き
ながら、感慨深げに見上げる地元の児童=いずれも神戸市
長田区、西神戸センター街
陰影
撤去が始まった7日夜。アーケードと重機の影がライトに
浮かぶ

 かつて、この下で商店主と買い物客のにぎやかなやりとりがあった。学校帰りの子どもたちの笑い声が響いた。
 神戸市長田区の商店街「西神戸センター街」のアーケード。阪神・淡路大震災で、すぐ近くまで炎が迫りながら奇跡的に焼失を免れた。激しい揺れそのままに、屋根や支柱は曲がったまま残った。見学に訪れた修学旅行生らに被災のすさまじさを伝えながら、街並みが復興していく8年半を見つめてきた。
 しかし、再開発事業が進むにつれ軒を連ねた商店は次々と移転。アーケードも約40年の歴史に幕を閉じ、商店街の西側は再開発ビルの店舗と広い道路に生まれ変わることになった。
 現場では、撤去作業と再開発ビルを建設する音とが交錯する。「震災後、地元の人の魅力を感じてもらえるまちにしようと、観光事業などに取り組んできた。アーケードは私たちにどんな点数をつけてくれるだろう」と地元タクシー会社社長の森崎清登さん(50)。
 撤去を前に開かれたお別れ会で、地元の児童約200人が感謝の言葉と歌をおくった。震災の“証人”がまた一つ消えた。が、復興の歩みを伝える役目は、子どもたちにしっかりと受け継がれた。

 写真:中西大二
 記事:石崎勝伸


 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。


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