以下の文章は「東京交通新聞2004年10月18日」に掲載された記事を転載(一部抜粋)しています。
夢のあるタクシーへビジネスモデル探す
「タクシーの近未来を考える」〜総合生活移動産業の可能性を問う〜をテーマに今月5日、東京港区・六本木ヒルズでタクシー問題懇談会主催のシンポジウムが開かれた(特別協賛・システムオリジン、協賛・東京交通新聞社、タクシーサイト)。全国から若手経営者中心に約400人が参集、転換期に入ったタクシー産業の今後の進むべき方向を探った。寺前秀一・金沢学院大学特任教授(元国土交通省総合政策局情報管理部長)が「移動情報産業の創造とゆびタク」と題し基調講演し、続いて「近未来のタクシー産業の姿を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われ、近未来のタクシービジネスモデルに関心が集中した。タクシー事業者自ら発信した「10・5ビッグイベント」を踏み台にタクシーの新たな歴史の一歩が始まった。 | ||
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(森崎) タクは暮らしの歳時記 客の立場でメニュー拡大 神戸市長田区でタクシー52台、小型バス3台で営業しているが、50台規模は全国の平均ボリュームゾーンと思う。時代認識だが、タクシーは進化すると言い切ることから始めたい。規制緩和の1年前、ホームページでコンテンツ探しをした。あなたが考えてアイデアを出したタクシーが長田区で次々に走るよと呼びかけたら、3500通のメールが届いた。カウントダウンタクシー、お花見タクシー、海のタクシー、出前タクシーと次々に作っていった。 最後の加算80円が上がるのを見せるのがカウントダウンタクシー。ラジオを後部客席に装着しお客がラジオのチャンネルを選べるのがラジオチャンネル権樹立タクシー。これをやって分かったのは、供給側の都合で当たり前になっていた話が実はお客には不便をかけていたこと。この気づきが後にどんどん新たなタクシーメニューの創造につながる。 お花見タクシーは花見用のゴザから幕まで全部無料で貸し出す。初乗り660円のほかにこういうことをやる。初乗りのサービス対価としての値打ちを理解していたかと考え直した。桜が咲く時期にサービスしているが、社員は春の運動会として楽しんでいる。タクシーが四季に応じてサービスするいろんな暮らしの歳時記になれると考えてはどうか。 出前タクシーは地元の中華料理屋やケーキ屋と提携し55分で届けるサービス。旅客と貨物のグレーゾーンに挑戦した。宅配業界からタクシーに参入するとの見方があったので先に打って出た。出前は宅配業者は扱っておらず、近畿運輸局からOKをいただいた。当社が先例をつけているので、今後、宅配業者は入ってこれないのではないか。全国のタクシー事業者の方も手を出してみてはいかがだろう。 |
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(森崎)商品のキーワード重要 「まもるくん」「みつけたくん」の後に当社では「きんたくん」を用意している。通称「安心かえる号」だ。子供1人だけで乗れるタクシーを打ち出した。商品開発では目に見える形にすることが大事だ。介護タクシーがそうだが、安心かえる号でドライバーが優しくなった。コストはかけない。カエルの縫いぐるみを置くだけで1つのメニューだ。 もう1つはテーマを設けることだ。キーワードを考えることも重要だ。タクシー会社が少子社会に向けてできることを、安心かえる号の人形だけで訴えることができる。タクシー業界はお母さんや子供たちを迎え入れて対応してきたはずだが、逆にここの本業の大切さを自分で自覚していくことが大切だ。 全国の利用者からいただいた3500のアイデアのうち、厳正された1000のアイデアをオープンにしている。全国の町のお客からいただいたアイデアを全国のタクシー事業者に伝えるのが礼儀と思っている。トップページで申し込まれると無料で1000のアイデアをお送りしている。素晴らしいサービスソフトを作ってみませんか−−これが私の提案だ。 |
※ スキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。