こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「日刊工業新聞2005年8月3日朝刊」に掲載された記事を転載しています。

神戸から吹く風

つながる活動 産業集積へ

17日からユニバーサルデザインの全国大会
 第3回ユニバーサルデザイン(UD)全国大会が行われる兵庫県内で、UDに取り組む産学官の動きが活発化している。ひょうご福祉新産業研究会(兵庫県三木市)や長田区ユニバーサルデザイン研究会(神戸市長田区)などが着実に成果を積み上げている。それぞれのスタンスで取り組んできた研究会の連携が加速し、1つの大きな潮流が生まれようとしている。一連の動きの先に展望できるのは「産業クラスター」の創出だ。


異業種連携により、介護現場や消費者のニーズを
とらえた開発商品が揃う
 地域の技術
 ひょうご福祉研は97年2月に発足した。アルミ製の風呂用いす、柄の角度が変えられる包丁、そろばん玉を使ったリハビリ遊具…。三木市の金物産業など地域に蓄積されたモノづくり技術を有効活用し、UDをキーワードに数々の商品を生み出してきた。これほどのUD商品を生み出した企業グループは全国でも珍しい。
 福祉とは無縁の研究会メンバー企業が、日本リハビリテーション工学協会の福祉機器コンテストで連続受賞する商品を開発した。同研究会の世話人である稲葉輝彦兵庫県工業技術センター主任研究員は「病院や福祉施設、大学まで輪が広がり、介護の現場や消費者のニーズを的確にとらえることができた」と分析する。
 同研究会は異業種連携が成功した貴重なモデルでもある。だが稲葉氏は「まだまだ点の存在。他の研究会や民間非営利団体(NPO)などとの連携を強め、活性化させたい。目標はUD産業クラスターの創出」と言葉に力が入る。
 思わぬ増殖
 つながりは思わぬところで増殖する。動きが立体的になってきた」と、長田区UD研の森崎清登会長(近畿タクシー社長)は笑顔で語る。最近、ひょうご福祉研や神戸UD商品開発研究会(神戸市長田区)など他の研究会との連携が深まってきたからだ。

 新たなフレーム
 長田区UD研は01年7月の設立。阪神・淡路大震災からの復興を目指す地域活動として始まった。これまで神戸UD大賞の創設や長田発神戸UDフェアの開催、小中学校への出張授業などに取り組んできた。「地域活動の新しいフレームができた」と森崎会長は手応えを感じている。
 「UDはあくまでも運動論であり、これだというものはない。続けることで多くのつながりができた。ひょうご福祉研や神戸UD商品開発研との連携も一例。“継続”と“つながり”がUDの本来の意味ではないか」。森崎会長の言葉に、UDの持つ限りない可能性が隠されている。

 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。

長田区ユニバーサルデザイン研究会のホームページはこちらです。


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