こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「サンケイリビング(神戸西版他)」2003年12月6日・コラム「トークアバウト」に掲載された記事を転載しています。

自分の強みに目を向けて
不況に負けない魅力発信へ

街づくりから観光プランまでアイデア満載
近畿タクシー社長 森崎清登さん



もりさき・きよと
1952年生まれ。早稲田大学法学部卒。1996年近畿タクシー(株)社長に就任。長田区ユニバーサルデザイン研究会会長、音楽の街長田推進実行委員会代表、神戸長田コンベンション協議会会長。神戸市提唱の環境マネジメントシステム検討会メンバー。長田の野球チーム「ぼっかけーず」監督。
きめ細かいサービスメニューから、全国に神戸ブランドを発信する宿泊プランまで、次々と取り組む近畿タクシー(本社・長田区)の森崎清登さん。震災に続く不況のなか、タクシー業界も、神戸の街も、自分たちの強みにきちんと目を向けることで、お客さんを引きつける魅力をまだまだ発信できると断言する、元気いっぱいの長田っ子オーナーです。

−料金が上がる90m手前から知らせる料金カウントダウンメーターや携帯電話の充電器装備など、数多い小技のきいたサービスを取り入れていますね。
 「ウェブで“あなたのアイデアタクシーを走らせます”と呼びかけ集まった3500もの声を、少しずつ実現しているところ。今までこの業界は規定通りに走っていればよいと思い込んでいたけど、お客さんのほうは、不満や要望をたくさん持っていたという数字ですよね。ホームページを通じて、全国のタクシー会社にもこの声をオープンにしています。苦しいといわれているけど、まだ工夫できることがいっぱいあると伝えたくてね」
−震災後、長田の街づくりを推進する長田TMOには設立当初から参加されていますね。
 「自分が生まれ、仕事をしてきた長田の街づくりにかかわっていたいという思いは強いですね。震災は大変やったけど、自分らの街の値打ちにきちんと目を向け、その魅力を再発見しながら復興につなげていけたらと。修学旅行生の受け入れや、名物ぼっかけカレーの開発など、地元の人たちと活動しています」

お母さんの声に応えて登場した安心かえる号

 「タクシー事業でも、地域で必要とされるコミュニティーサービスを担っていきたい。塾帰りなど帰宅が遅くなる子供を安心して乗せられるタクシーがほしいなど、お母さんたちの声に応えた“安心かえる号”もそのひとつ。カエルのぬいぐるみは、“子供好きな乗務員がきちんと対応します”という目印です。ヘルパー講習を受けた乗務員による“星空の車いすタクシー”は当日予約で配車。車いすのお年寄りにも気軽に外出してもらいたいと考えました」
−観光都市・神戸を発信する企画にも積極的。ベイエリアと有馬温泉の両方を楽しむ宿泊プラン「KOBE十八番物語」を、ポートピアホテル、御所坊、近畿タクシーの3社でコラボレーションし展開中です。
 「神戸を訪れる友人を想定し、自分たちがもてなすとしたらと、3社のオーナーが知恵を出し合いました。この街で仕事をしていると、つい見過ごしてしまうけど、神戸は人を魅了する本物の文化を持っている。例えば、南京街で中華食材を扱っている知人の話ですが、会社の2階で奥さんがごく少人数に教えている料理教室に、ふらりと料理の鉄人がやってきて飛び入り指導をしたことがあるというんです。飲食店が並んでいるだけじゃない、生きた文化がここにはある。神戸のオーナーたちがダイレクトに協力しあって、そんな新鮮な魅力を、掘り起こしていきたいですね」
(編集委員 村田佳子)

※ 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。


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