こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「読売新聞2004年6月6日朝刊」に掲載された記事を転載しています。

修学旅行生に伝える「震災の跡」

長田のタクシー会社


焼け残ったクスノキが並ぶ大国公園で、森崎社長(右から
2人目)の話に耳を傾ける中学生ら(神戸市長田区で)
町の変遷見守る運転手の視点で

 阪神大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区で、タクシー会社が、震災学習の一環として訪れる全国の修学旅行生に、震災から9年を経た今もツメ跡が残る市街地を当時の体験を語りながらタクシーで案内するサービスを始めた。ベテラン運転手が激震地や震災モニュメントに生徒を連れて行き、地震発生時の様子や商店街、住宅を焼き尽くした大火の惨事、復興までの住民らの活動などを伝える試み。運転手らは「町の変遷を見続けてきたドライバーならではの視点を生かしたい」と意気込んでいる。
 同区上池田の「近畿タクシー」(52台)。修学旅行の窓口になっている「神戸長田コンベンション協議会」が行う体験学習の一環で、同協議会長を務める同社の森崎清登社長(51)が発案した。
 これまでに新潟市と千葉県船橋市から来た中学の修学旅行生を案内。ボランティアの拠点になったカトリック鷹取教会や、御菅西地区の慰霊モニュメントなどを回り、森崎社長が当時を振り返りながら、生徒らに語りかけた。

慰霊モニュメント・ボランティアの拠点
火災食い止めたクスノキ


 車内では運転手歴22年の別府敏晴さん(66)らが震災直後の様子や、その後の町の変ぼうを説明。樹皮が焼けただれたクスノキが並ぶ大国公園近くでは「この木が火災を食い止めてくれた」と話し、生徒らが真剣な表情で耳を傾けた。
 船橋市立葛飾中3年の石井絵里子さん(14)は「町並みはきれいに見えるのに、実際に町を回ってみると、いろいろな場所に、大きな被害の傷跡が残っていた」と、驚いた様子だった。
 これまで、地元のまちづくりにかかわってきた森崎社長は「来年で震災10年。もう一度、タクシー会社として、震災の悲惨さとともに、人の温かさも全国に発信していきたい」と話している。






体験学習の様子をこちらでご覧になれます。


葛飾中学校・修学旅行生制作の「あすた新聞」もご覧ください。

 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。


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