こんなところでも近畿タクシー

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以下の文章は「神戸新聞2005年3月11日朝刊」に掲載された記事を転載しています。

こうべ 羅針盤
2005年度予算案から(8)

観光 「独自の強み」磨け



クルーズ船が停泊する神戸港周辺を歩く観光客ら。
「神戸らしさ」をどうアピールするかが課題だ=中央区波止場町


神戸学遊パスポート
教育旅行目的で神戸を訪れ、市内のホテルや旅館に宿泊する小中高の児童・生徒と、引率者を対象(海外からの旅行者も含む)に発行する。パスポートを使えば、市内の観光施設のうち、市関連施設の入場料が無料になる。国や県の施設や民間の施設は、割引を検討中。2005年夏ごろをめどに実施の予定。
 「予算要求の際、『前年よりカット』の前提が全体に設けられたが、観光はカット対象から除かれた」(市観光交流課)
財政難でも、観光は別格だ。街の活性化に向けた大きな期待を背負う。
 2003年、神戸を訪れた観光客数は2669万人。阪神・淡路大震災の1995年は1074万人まで落ち込んだが、98年には震災前の水準を回復した、とされている。
 しかし、これには“からくり”がある。「ルミナリエ」の観衆を引くと、03年でも震災前の9割弱にとどまっているのが現状だ。
 大手旅行会社JTBの見方はシビアだ。「遠方の観光客で、神戸を関西旅行の第1目的にする人は少ない」。売れるツアーを求める中で、神戸単独のパンフレットは作っていないという。
 何種類もの単独パンフレットがあり、歴史遺産が集まる京都市には、03年、神戸の倍の4374万人が観光で訪れた。「神戸の“売り”がぼやけているのでは」と同課は分析する
 教育旅行に絞ると、差はさらに歴然とする。03年、神戸に宿泊した修学旅行生は6万7千人。「人と防災未来センター」などでの震災学習が注目を集め、過去最高を記録した。一方、京都は102万人だった。
 「このご時世、平日にまとまった人数で来る修学旅行生は、まさに“ドル箱”。キャンセルがない上、リピート率も高い」とは、神戸市内のホテルマン。こうした状況も考慮し、市は05年度、修学旅行生を優遇する「神戸学遊パスポート」を発行する。
 商店主が震災を語ったり、炊き出し体験などのメニューを用意し、修学旅行生を受け入れている「神戸長田コンベンション協議会」の森崎清登会長が言う。「来年2月の神戸空港開港は『神戸にしかない強み』を磨く機会。京都や大阪のついでに立ち寄る観光地から脱皮したい」。
 05年度は、神戸観光の「勝負年」になりそうだ。
 (中島摩子)

 新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、若干汚れが目立ちますがご了承下さい。


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