以下の文章は「神戸新聞 2000年11月11日朝刊」の記事に掲載されたものを転載しています
神大グループ 低コスト実現 |
復興へ環境のまちPR |
![]() 福田秀樹・神大教授(右)から バイオ技術の新燃料を受け取る 森崎清登・近畿タクシー社長 =神戸市灘区、神戸大学 |
バイオ技術を用い、酵素で廃てんぷら油などの食用油を車の燃料に変える研究を進めてきた神戸大学などのグループが、このほど実用化に成功。新燃料を使ったバスが今月30日、神戸市長田区の新長田地区を走る。廃食用油利用の燃料は、伊丹市や京都市などでも実用化しているが、これまでの化学触媒法では、製造過程で危険な副産物が出たり、高いコストがネックとなり普及が進まなかった。震災復興に取り組む新長田地区の住民らは「環境にも優しいまちをアピールしたい」と歓迎している。 (西 栄一) 福田秀樹・神戸大学教授を中心にした京都大、大阪大などの共同研究グループ。 福田教授らは1998年、洗剤やチョコレートの製造に使われる酵素(リパーゼ酵素)を用い、廃てんぷら油などをディーゼル燃料に変える手法を発見。従来の方法ではできる高アルカリ性物質が発生しない利点があるほか、酵素を繰り返し使える低コスト化の技術も開発し、1リットル当たり50〜60円と従来の半分まで抑えられる見通し。 30日 長田の買い物便 この研究を知った同市長田区の近畿タクシー社長、森崎清登さんが、同社が運行する地域コミュニティーバス「買いもん楽ちんバス」での使用を要請。福田教授も、「実現化に向けた一歩となる」と快諾し、全国初の酵素触媒法・食用油を用いたバスの走行が実現することになった。 「楽ちんバス」は、震災で被害を受けた同地区のコミュニティー再生を図るため、期間限定ながら復興住宅と商店街・病院を無料で結んでいる。食用油を入れた走行は一日限りだが、近畿運輸局の承認を受けた。森崎社長は「長田のまちで、廃油を回収、再生して車を走らせることが、優しいまちづくりの足がかりになるのでは」と期待している。 (※現在、「買いもん楽ちんバス」は終了しました) ※ カラーで掲載された新聞紙面よりスキャナで写真を取りこみましたので、 若干汚れが目立ちますがご了承下さい。 |
![]() 食用油で走ることになった楽ちんバス =神戸市長田区 |